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自然の恵み旬食材

ここ函館・道南は、大きな半島地形が生み出す食材の宝庫。
海の恵み、山の恵み、そして畑の恵みが盛りだくさん。

情熱がつまった養殖ブランド

函館サーモン

函館サーモン

上質な脂と新鮮さが自慢の函館の新ブランド

近年、函館内外で注目を集めている食材、函館サーモン。函館市漁業協同組合員等によって2021年結成されたのが「函館サーモン養殖部会」。そしてこの部会によって養殖されたトラウトサーモンが「函館サーモン」と呼ばれます。
「天然のサーモンよりも上質な脂があり、臭みもなく、さっぱりしているのにしっかりとしたコクがあります。特に生で食べると、その新鮮さと風味を最大限に楽しめます」と、部会長である松川さんは語ります。
水揚げは5月下旬から7月上旬の週に一度で、全て販売先が決まっており予約販売制。また函館以外で出回ることが少ないため、希少な食材として注目されています。

函館サーモンの出荷定義

  1. 一定以上の重量
  2. メスで未成熟の個体
  3. 体色が銀毛に変わったもの(スモルト化)
スモルト化とは、サケやマスが淡水から海水へ移行する過程で、身が引き締まり、味わいが一層豊かになる生理的変化です。これにより、身質がしっかりし、風味が増して、美味しさが引き立つと言われています。

おいしさの秘密

函館サーモンの養殖環境は函館漁港内の生簀6基、11月の水温が15℃以下になってから種苗(養殖用の稚魚)放流が始まります。約半年かけてサーモンを育成し、水温が20℃以上になる前の5月下旬から7月上旬にかけて水揚げします。種苗は養殖部会のメンバーが全国の種苗業者を巡り選定。特定の優れた特性を持つ個体を選び出して繁殖する「選抜育種」が進んでいる、福島県の種苗を使用しています。

水揚げの1 週間前から餌を与えず、胃を空の状態で水揚げすることで、サーモン特有の臭みを軽減しています。また、水揚げされたサーモンは、船上で迅速に処理。エラに刃を入れて脱血を行い、海水氷の中で血抜きをします。処理されたサーモンは、海水氷に入れた状態で、加工場に運ばれます。この工程を約30分以内に完了させることで鮮度を保ち、迅速な処理と輸送が函館サーモンの新鮮さを支えています。

週に一度の販売

函館サーモンはすべて予約販売で取り引きされます。市場で競りにかけられることはなく、価格は生産者側で決定し、主に函館市内のスーパー(魚長・コープさっぽろ・ホクレン)、地元の寿司店、鮮魚店などに直接販売されています。消費者から需要が高まる週末に合わせて販売できるよう、5月下旬から7月上旬の週に一度、毎週火曜日の水揚げにこだわり、その後木曜日から販売が開始されます。水揚げ後冷凍せずにフレッシュな状態で出荷することで、その美味しさを保っています。

循環を考えた養殖環境

養殖部会では「未来につながる養殖」を大切にしています。餌はいかめし製造時に発生する加工残渣(ざんさ:食品関連事業所から出る食品由来のごみ)を再利用しています。通常、残渣は産業廃棄物として処理されますが、人間が食べられるものだけをさらに選定し、粉末状に加工したイカパウダーを餌業者と開発。実際に人間が食べても安全で高品質な成分で作られています。加工残渣を再利用することで、産業廃棄物の削減に貢献し、廃棄される部分を有効活用することで、持続可能な養殖業を実現しています。
また、餌を浮餌にすることで海底に沈むのを防ぎ、環境への負荷を軽減しています。その他海洋環境への悪影響を避けるために、鮭由来の廃液は、海へ放血せずに産業廃棄物として処理しています。

生産者から

持続可能な観光資源を目指して

松川 雅樹

松川 雅樹さん

函館サーモン養殖部会 部会長

持続可能な観光資源を目指して

函館サーモンは手に取っていただくまでの過程において、手間を惜しむことなく育てた我が子のような存在です。漁獲の約85%が函館市内で消費されるため、函館に来たからには食べたい!と思っていただけるような、観光資源を目指したいです。
自分自身で潜水士の資格を取り、月に一度海に潜り水質の調査を行っています。ヘドロのサンプルを採取し、成分分析を専門の調査会社に依頼することで、海が汚れていないことを確認。自分の目で見て確認することで、函館サーモンがいかに安心安全であるかということをみなさんに伝えられます。
北海道は魚の天然資源に恵まれているため、魚類の養殖がまだまだ発展途上です。函館サーモンの養殖において、関わる事業者はオール函館。これを機に、持続可能な“函館漁港モデル”として、漁港有効活用の確立と、漁業経営の安定した漁業振興が目標です。

函館漁港内の生簀の様子。サーモンに傷がつかないよう、タモによる手作業で漁獲します。

函館漁港内の生簀の様子。サーモンに傷がつかないよう、タモによる手作業で漁獲します。

船上に揚げられたサーモンは、すぐに特殊な機械で脱血させて海水氷へ。

船上に揚げられたサーモンは、すぐに特殊な機械で脱血させて海水氷へ。

処理されたサーモンは、出荷トラックが待つ岸壁へ移動。引き続き海水氷の中で鮮度を保ち、加工場に運ばれます。

処理されたサーモンは、出荷トラックが待つ岸壁へ移動。引き続き海水氷の中で鮮度を保ち、加工場に運ばれます。

持続可能な養殖を目指し、生け締めした際に出た廃液は、海へ放出せずに産業廃棄物として処理しています。

持続可能な養殖を目指し、生け締めした際に出た廃液は、海へ放出せずに産業廃棄物として処理しています。

シーズン中は毎週火曜日に水揚げし、木曜日から「函館サーモン」のシールを貼られて、函館市内の各スーパーや鮮魚店の店頭に並びます。(*)

シーズン中は毎週火曜日に水揚げし、木曜日から「函館サーモン」のシールを貼られて、函館市内の各スーパーや鮮魚店の店頭に並びます。(*)

上質な脂が特徴で、さっぱりしながらもコクがある味わい。刺身やカルパッチョなどで、フレッシュな味わいを存分に楽しみたい。

上質な脂が特徴で、さっぱりしながらもコクがある味わい。刺身やカルパッチョなどで、フレッシュな味わいを存分に楽しみたい。

産地
函館市
漁獲時期
5月下旬から7月上旬
生産者
函館サーモン養殖部会
所在地
〒040-0051 北海道函館市弁天町20番5号
函館市国際水産・海洋総合研究センター内 108号室
電話
0138-83-2420
メール
matsukawa-m@marunama.co.jp
取材日
2024年7月2日
公開日
2024年9月5日
撮影者
田村昌弘(*を除く)
撮影協力
函館短期大学付設調理製菓専門学校
,坂井鮮魚店
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