料理人に聞く「一日の仕事」
意外とわからない 料理人の一日を探る
「料理人はどんな一日を過ごしているのだろう」「具体的にどんな仕事をしているのだろう」と気になることはありませんか。
料理の世界に入って3年目の料理人と約30年の調理長に、平均的な一日の仕事内容について聞きました。
3年目の若手料理人の場合
午前中
- 朝一番にスープの入った鍋をコンロにかけます
- 厨房内のミーティングでその日の予約状況を共有。早い時間の予約が入っている場合は、皿の用意などを行います
- ランチタイムの営業に向け、調理担当者が効率よく作業できるよう、調味料の準備や皿の用意などをします
ランチ営業中(11:30〜15:00)
- セットメニューの炒め物・揚げ物、その他一部メニューの調理を担当します
午後
- テイクアウトの予約注文に応じて、容器や材料を準備します
- 夜の宴会料理の材料や皿などの用意をします
ディナー営業中(17:00〜21:00)
- コース料理の進行に合わせて皿を用意します
- 宴会が重なっている時は、宴会場に料理を運ぶのを手伝います
- 営業が終わり次第、片付け・掃除をして退勤します
※通常、朝~夕方と昼~夜のシフト制です
黒滝さんから
ランチタイムは調理も一部担当しますが、その他の時間は調理担当者がスムーズに仕事をできるように準備をするのが自分の役割です。お客さんによって用意するものが変わることもあるので、何度かやったことがある仕事でも、必ず上司や先輩に確認するようにしています。
ランチとディナーでも準備の内容が違うので頭の切り替えが大変ですが、ひとつひとつ確実に仕事をするように努めています。上司や先輩たちはひとつひとつの作業がとても早く、なんとか自分もそのスピードについていけるようがんばっています。
料理人歴約30年の調理長の場合
午前中
- 食材の在庫量や状態を確認します
- 当日や翌日以降の宴会予約状況を確認し、仕込みを行います
ランチ営業中(11:30〜14:30)
- 午前中から引き続き、夜の宴会の仕込みを行います
- レストランが混雑した場合は、状況を見てランチの調理を担当します
午後
- 新しいメニューの構想を練ります
- 注文に応じて作る特注弁当の内容を考えます
- イベントに出店する際のメニューを考えます
- マスコミ・雑誌などの取材に対応します
- 伝票を処理します
ディナー営業中(17:00〜20:00)
- 宴会料理の調理を担当します
秋保さんから
調理長に必要なのは段取りができることと、調理場で誰が今どんな作業をしているのかを把握することです。料理の腕が優れていることも大切ですが、調理場の全体を見て、どうしたらスタッフがスムーズに作業し、早く終われるかを考えることのほうが重要です。その日にやるべき仕事が分かっていたのに定時までに終わらず、スタッフに残業させるようなことがあれば、これは調理長のミスです。複数の作業がある場合は優先順位を考えて段取りを組み立て、夕方までにみんなで作業し、準備を終わらせるように努めています。
若い人が働きやすい職場環境を作ることも、私の役目だと考えています。特に徹底しているのは「命令しないこと」。仕事のやり方について提案やアドバイスはしますが、強制はしません。普段は上も下もなくざっくばらんに接し、仕事にはきっちり取り組む。そんな職場をつくっていきたいと思います。