世界料理学会 in HAKODATE
食のプロたちが注目する、料理がテーマの催し
気鋭の料理人たちが函館に集結
世界料理学会は、料理人たちが料理論や哲学、風土、食材、さらには調理手法などを論じ合う催しです。スペイン・バスク地方のサンセバスチャンという小さな町から始まり、後に世界中の名だたる都市に広がって各地で開催されるようになりました。こうした動きに刺激され、函館の料理人が発起し、この街でも2009年から料理学会が始まりました。函館では1年半ごとに開催され、今では全国から参加者が集まるほど、料理人をはじめ食のプロや美食家たちの注目を集めています。さらに、函館の取り組みを参考に、東京都や岩手県、佐賀県などでも料理学会が催されるようになりました。
料理人による料理人のための料理学会
函館の料理学会は、料理人が中心となって企画・運営し、料理人自身が登壇して、自らの考えを述べるという、まさに「料理人による料理人のための料理学会」です。国内外から気鋭の料理人たちを函館に招き、壇上での映像を交えた華麗なプレゼンテーションや熱い議論が繰り広げられます。一般の方々でも聴講でき、函館市民にも支持されている非常に興味深い内容です。来場者にとっては、輝かしい活躍をみせるスターシェフたちと身近に触れ合うことができる絶好の機会にもなっています。
オープニングは、主宰の深谷宏治シェフ(函館)の掛け声から。参加シェフ全員で高らかに気勢をあげ、料理学会がスタートします。
(写真:第8回世界料理学会 in HAKODATE/函館市芸術ホール)
毎回、個人発表のほか、料理界のトレンドや関心の高いテーマについて語り合うトークのプログラムもあります。第8回では、日本のフレンチ界を牽引してきた一人、吉野建氏(東京「タテル ヨシノ」)と、その弟子の手島純也氏(和歌山「オテル ド ヨシノ」)の師弟対談を企画。トークでは、東京のベテランシェフ谷昇氏(東京「ルマンジュトゥー」)も加わり、料理人の人生観にも触れる内容に会場内の皆が聞き入りました。
(写真:第8回世界料理学会 in HAKODATE)
海外からもゲストを迎えてのプレゼンテーションが繰り広げられます。第8回には、スペインで活躍中のシェフ、フェデリコ・パチェ氏が登壇しました。パチェ氏は、世界一の美食の街と称される「サン・セバスチャン」における、料理学校講師、飲食店のマネージメントやコンサルティングなど自身の活動を紹介し、さらにバスク地方での天然キノコの伝統料理などについて語りました。
(写真:第8回世界料理学会 in HAKODATE)
アメリカの料理雑誌「FOOD&WINE MAGAZINE」で『人生を変える世界のトップレストラン10』のひとつに選ばれ、海外でも広く知られる「TAKAZAWA」(東京・赤坂)の高澤義明シェフ。第1回から欠かさず参加し、函館の料理学会を支えるひとりです。第8回では、久々の個人発表で登壇。店舗の経営などについて、ユニークなパフォーマンスを交えた発表を披露。
(写真:第8回世界料理学会 in HAKODATE)
函館周辺の生産者による展示ブースが並ぶ「食材見本市」が同時開催されることもあります。魚の鮮度を保つ「神経〆」の実演や、野菜や畜産品、乳製品、ワインなどこだわりの逸品の説明に、世界のトップシェフたちも興味津々です。
(写真:第8回世界料理学会 in HAKODATE)
会期中には、函館を訪れる食の関係者などに向けた、ディナーパーティーや生産地ツアーなども企画。第8回では、近郊の農園や果樹園を巡るバスツアーが実施され、函館の隣町・七飯町特産の「王様しいたけ」などの生産の現場を登壇シェフと共に訪問しました。
(写真:第8回世界料理学会 in HAKODATE)