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函館「食」ニュース

ワインの生産地として注目される函館・道南

ワインの生産地として注目される函館・道南

  2019年5月14日、『「日本ワインの魅力を発見する会」in函館』が開催され、ワインを愛好する市民ら約50名が、北海道内で造られたワインなどの試飲を楽しみました。このイベントは「日本のワインを愛する会・函館支部準備会」として催されたものです。冒頭、日本のワインを愛する会会長でタレントの辰巳琢郎さんが挨拶。地元で栽培されたぶどうで醸造するワインへの注目が集まるなか、函館や道南には人気の高いワイナリーがあり、最近は大手メーカーがぶどう畑を作るなど、全国でも期待が高まっている地域であることを挙げ、「この地で作られるワインを、造り手と飲み手が一緒になって盛り上げていただきたい」とエールを送りました。   「日本ワイン」とは、日本国内で栽培されたぶどうを100%使用して、日本国内で醸造されるワインです。これまで日本のワイン生産といえば、山梨県や長野県がよく知られていましたが、近年は全国各地へと広がり、いまではほとんどの都道府県で生産され、ワイナリーは全国で300軒を超えました。北海道の生産量は、山梨県、長野県に次ぐ第3位。道内では小樽市周辺の後志地区、さらには岩見沢市を中心とする南空知地区に多くのワイナリーがあり、近年はここを巡るツアーなども企画されています。函館・道南では近年、ワインの造り手から注目が集まり、ワイナリーやぶどう畑を新たに創設する動きがみられます。   ■ 高い人気を誇る既存ワイナリー 2012年、函館西部地区に創設された「農楽蔵」は全国的にも人気のワイナリー。フランスでぶどう栽培とワイン造りを学んだ佐々木賢・佳津子夫妻が、函館の隣町・北斗市文月地区にぶどう畑を持ち、シャルドネ種などを栽培しています。ワインは極少量生産ながら、その品質の高さゆえに注目が集まっています。 また、同じ道南の「奥尻ワイナリー」は、日本海に浮かぶ離島・奥尻島に圃場と近代的な醸造施設を備えています。島の西側、海に近い畑で栽培されるぶどうは天然のミネラル分が豊富で、海が感じられるワインと評され、高い人気を誇ります。   ■ 老舗ワイナリーや大手飲料メーカーの新規参入も予定 昨年来、フランスの老舗ワイナリー「ドメーヌ・ド・モンティーユ」が、函館市桔梗地区に用地を確保し、ぶどう畑を造成することに注目が集まっています。同社がぶどう栽培に適した土地を求めて各地で調査した結果、函館が選ばれました。今後は函館にワイナリー設置の計画もあるそうで、同社の函館産ワインの誕生が期待されています。さらにトラピスト修道院にほど近い北斗市三ツ石地区では、サッポロビールが「グランポレール北海道北斗ヴィンヤード」を2019年5月にオープン。同社が持つぶどう畑では国内最大の規模で、津軽海峡を望む24.5ヘクタールもの広大な用地で、メルローやシャルドネなどを栽培します。ここで作られたぶどうを使ったワインは、2022年頃から出荷される見込みです。このように、函館やその近郊は、気候や土壌、地形などがワイン用ぶどうの栽培適地として期待が高まっています。函館産のぶどうを使い、函館で醸造される「函館産ワイン」が続々登場する日も現実的になってきました。   日本のワインを愛する会・函館支部準備会に関する問合せは事務局の菅原さん(0138-22-1777)まで。

函館マラソンのおいしいエイドフード紹介

函館マラソンのおいしいエイドフード紹介

毎年7月に開催される函館マラソンは、函館や北海道のグルメをエイドフードとして提供することでも評判の大会。それも、全て地元企業による無償提供によるものです。食の街・函館だからこそ実現する、2019年大会のエイドフードの一部をご紹介します。   北海道朱肉メロン 夕張メロンでもおなじみ、オレンジの果肉の「朱肉メロン」。旬を迎えた、食べごろの甘くてみずみずしい味わいは、「こんな高級品を提供するマラソン大会は他にない!」と、ランナーから大好評です。 (提供 中川青果)   本格的はこだて冷やし塩ラーメン 塩ラーメンも「函館らしい」と毎年好評の一品。今大会では初めて「低糖質麺」を使用するほか、函館名産「がごめ昆布」をトッピングします。 (提供 らぁめん工房かりんとう、麺TEPPEN、出口製麺、海まち中華かりんとう)   朝市炊き込み海鮮丼 ホタテの炊き込みご飯に、ウニ・いくら・カニをトッピング。ランナーの食べやすさを考慮した一口サイズですが、満足感たっぷりです。 (提供 函館朝市協同組合連合会)   がごめいかそーめん 函館の海産物の代表、「いか」と「がごめ昆布」を合わせた一品。がごめ昆布のとろみ成分で、口あたりなめらか。 (提供 函館朝市協同組合連合会)   ミニ丸缶羊かん、スライス版羊かん「通好み」 函館から車で約2時間・江差町の老舗和菓子店「五勝手屋本舗」の羊かん。函館マラソン限定ラッピングのミニ丸缶入りと、「通好み」と呼ばれるスライスバージョン。 (提供 五勝手屋本舗)   カステラ饅頭函館散歩 北海道十勝産の大豆を使って職人が丁寧に練り上げたこしあんを、相性のよい北海道産小麦を使ったしっとり生地で包んで焼いた和菓子。 (提供 千秋庵総本家)   トラピスチヌ ホワイトミルク チョコレート 函館の郊外にある修道院で作られるチョコレート。ミルクの優しい味わいには、修道女の皆さんの祈りが込められています。 (提供 天使の聖母トラピスチヌ修道院)   北海道179市町村サイコロキャラメル 昔懐かしいサイコロキャラメルは、実は現在、北海道のみの限定販売品。また、その製造工場は函館にあります。北海道命名150年の節目を記念して作られたこの商品は、北海道産牛乳パウダーを使用した白いキャラメルです。 ※参加記念品として配布 (提供 道南食品)   写真:6月6日に行われたエイドフード試食会にて、実行委員会やスポンサー関係者が話し合う様子 全国から参加するランナーに函館を満喫していただけるよう、大会関係者は知恵を絞り、準備を進めています。

「料理人が作る私の函館料理」に4人の料理人が登場

「料理人が作る私の函館料理」に4人の料理人が登場

当サイトの人気コーナー「料理人が作る私の函館料理」に、4人の料理人が新規登場。地元の食材を使ったオリジナリティあふれる料理をご紹介しています。 そのほか、「旬食材」「訪ねてみたい市場・商店」の各コーナーにも新記事を追加しました。ぜひご覧ください。     「料理人が作る私の函館料理」   ■ ブリのマリネグリルと大根の昆布コンソメ煮 レストランnana-papa 池田 洋二   ■ おぐに和牛のステーキ 塩わさびおろしとマスタード 二代目 佐平次 山形 智   ■ はこだて寿司 幸寿司(こうずし) 玉谷 光市   ■ オマール海老とサーモン、近郊野菜のモザイク造り センティール・ラ・セゾン函館山 片桐 正史     「旬食材」   ■ ごっこ     「訪ねてみたい市場・商店」   ■坂井鮮魚店(ヤマサ坂井商店)

ロシアの伝統的家庭料理を楽しむ「ピロシキ博2019」レポート

ロシアの伝統的家庭料理を楽しむ「ピロシキ博2019」レポート

いち早く海外に門戸を開いた函館では、ロシア艦船の来港や、ロシア領事館の設置などをきっかけに、ロシア料理の製法が幕末期に伝えられました。こうした歴史をもつ函館で、ピロシキを食べながらロシアとの交流などに触れるイベント「ピロシキ博2019」が、3月10日にレストラン五島軒で開催されました。ピロシキはロシアの伝統的家庭料理で、パン生地の中に肉などの具材を詰め、揚げたり、焼いたりして作られるもの。この催しは函館の新ご当地グルメ「はこだて焼きピロシキ」の販売店でつくる「ソユーズはこだて焼きピロシキ」が主催し、今回が初開催。函館市民ら約120人が参加しました。   参加者は、ピロシキとともに、ロシア伝統のスープ「ボルシチ」などを味わいながら、様々な催しを楽しみました。函館における明治期からのロシア料理に関するトークショーを皮切りに、ピロシキの伝来を紹介する創作劇や、ロシア極東連邦総合大学函館校や函館西高等学校の学生たちによる「はこだて焼きピロシキ」誕生秘話の紹介、創作ピロシキのアイディアコンクールなど、盛りだくさんな内容。会場は大盛況でした。   【はこだて焼きピロシキ】 日本でみられるピロシキは、具材を詰めたパン生地を「揚げ」て調理するものが多いなかで、「はこだて焼きピロシキ」は本場ロシアのスタイル、「焼き」製法で作られます。2017年に考案され、地元産の食材を用いた、具だくさんのピロシキです。市内6店舗で、それぞれのオリジナルピロシキを販売中。 冒頭のトークショーでは、主催した「ソユーズはこだて焼きピロシキ」代表の北見伸子さんと、「五島軒」代表取締役社長の若山直さんが、函館とロシアとの深い関わりや、「ピロシキ博」開催に至る経緯などを語りました。 史実をもとにした創作劇では、幕末にロシアの人たちが函館にやってきたことや、ロシア料理を出すレストランが出来た経緯など、様々なエピソードを紹介。ユニークな内容に、会場は笑いに包まれます。 ピロシキとともに、ボルシチや、ピロシキに合わせたスープも提供。幕末期の函館にあった「ロシア病院」で、滋養を高めるために市民に振る舞われたといわれる、ニラと卵が入ったスープも再現されました。 参加者には、「はこだて焼きピロシキ」の中から1個と、「揚げピロシキ」1個を配布。各テーブルでは、お好みのスープとともに2種のピロシキを食べ比べ、歓談する姿がみられました。

ご当地ビアカクテルの「函館ガラビー」、提供店拡大中!

ご当地ビアカクテルの「函館ガラビー」、提供店拡大中!

函館では、ご当地ビアカクテル「函館ガラビー」を提供する飲食店が続々増えています。函館ガラビーは、ガラナ飲料と生ビールを4:6で割ったもの。ガラナ飲料は函館近郊の七飯町で製造される株式会社小原の「コアップガラナ」を使います。ガラナ独特の香りと甘みでビールの苦みが抑えられ、アルコール分も低めで、ビールが苦手な方にもおすすめ。パーティーの盛り上げなどに一役買い、観光客にも人気です。   函館ガラビーは、2016年に髙野信子さん(函館フーズプランニング代表取締役)がシャンディーガフ(ジンジャーエールを使ったビアカクテル)を参考に考案。高野さんが経営する居酒屋「魚まさ函館五稜郭総本店」(函館市本町)で提供したところ、観光客にも好評だったことから、「函館のソウルフードになれば」と、ガラナ飲料を製造する株式会社小原と主要ビールメーカー4社などが協力。その後、提供店舗を増やしてきました。   2018年5月には、飲食店80店舗で函館ガラビー協会(代表:髙野信子)を設立し、広告媒体の制作や新規提供店の開拓、試飲会の開催などを行っています。「観光で訪れるお客さんに飲んでもらい、函館を思い出してリピートしてもらえるような飲み物にしたい。飲食店が協力して函館の盛り上げに一役買えれば」と髙野さん。現在、函館・道南の飲食店約100店ほどで提供中。ぜひ御賞味を。   【ガラナ飲料】 ガラナ飲料とは、ブラジルアマゾン川流域で採れるガラナという木の実から抽出されるエキスを配合して作られた、コーラに似た飲料です。1950年代、大手メーカーのコーラ飲料が日本に上陸して流行した際、これに対抗して全国の中小飲料メーカーが開発し、統一銘柄で製造を始めました。函館の隣町、七飯町に工場を持つ株式会社小原が、函館近郊の名峰、横津岳の天然水とジャガイモを主原料とする果糖ブドウ糖を使って製造しています。時代が移り変わり、各社がガラナ飲料の製造を止めていくなかで、小原ではこれを息長く作り続け、人気商品に育ててきました。誕生からすでの60年もの歴史を持つ「コアップガラナ」は、今も函館・道南で愛されています。 提供店舗では、ステッカーやポスターなどで、積極的に「函館ガラビー」をアピール。 コアップガラナは函館土産としても人気の高い炭酸飲料。ペットボトル入りのほか、クラシックな姿のワンウェイ瓶も好評です。 大沼公園にある「ブロイハウス大沼」では、建物内で醸造される人気の地ビール「大沼ビール」を使った函館ガラビーを提供中。

函館に「塩ラーメンタクシー」誕生。1/12から運行開始

函館に「塩ラーメンタクシー」誕生。1/12から運行開始

  2019年1月、函館のご当地タクシー「函館塩ラーメンタクシー」が誕生しました。ご当地タクシーは、各地の名産品などをタクシーの「行灯(あんどん)」に取り入れて街なかを走り、観光客などにアピールしようという取り組み。全国の10社を超えるタクシー事業者が運行していて、青森県のアップルパイタクシー、香川県のうどんタクシーなどが有名です。 函館タクシーが運行する函館塩ラーメンタクシーは、人気ラーメン店「ラーメン満龍 深堀店」が提供する、特製塩ラーメンがモチーフ。チャーシュー、なると、メンマなどを忠実に再現し、後部座席のシートカバーにも塩ラーメンをデザイン。また、函館のラーメン情報誌なども常備します。 現在は1台での運行で、予約が入ると出動。ドライバーは、ラーメンをはじめとする函館観光に詳しい「はこだて検定」の合格者で、おすすめのラーメン店を案内するほか、観光名所の説明も受けられます。 2019年1月12日には「函館塩ラーメンタクシー」がお披露目され、函館出身の歌手で「愛しの塩ラーメン」を歌う暁月めぐみさんと、「ラーメン満龍 深堀店」店主が運行開始をアピールしました。

人気店のおすすめ函館土産「函館山ブレンド」

人気店のおすすめ函館土産「函館山ブレンド」

写真は、喫茶店「select coffee shop peacepiece」で販売中の函館土産にもなるドリップバッグコーヒー。中央で目を引く「おすもうさん」は函館のシンボルである「函館山」を関取の名になぞらえて作った「函館山関」で、珈琲はその名も「ハコダテマウンテン」です。2つとも同店で人気のブレンドで、左はベースのブラジル、グァテマラにマンデリンを加え、重厚な苦味を引き出した深煎り。右は同じくブラジル、グァテマラをベースにエチオピアを加え、フルーティな香りを引き出した中煎り。 販売は peacepiece ほか、函館空港、函館駅キヨスクにて。価格は 1つ150円。なお、同店では珈琲豆も販売中(100g 500円、深煎りは100g550円)。※いずれも税抜 店主・尾塩さん曰く、「函館山関」は浮世絵に登場する関取を参考にデザインしたとのこと。 select coffee shop peacepiece 函館市末広町18-12 TEL 0138-22-5500   函館スイーツ推進協議会のPR誌「KA・NO・KA」第3号の特集は、「珈琲×菓子」。函館の街の、珈琲とお菓子にまつわる様々な物語を紹介しています。1万部発行、函館空港、JR函館駅構内函館市観光案内所ほかで、無料配布中。ウェブ上でも読むことができます。

味わう道具も味のひとつ。 夏井珈琲の食器棚を覗き見

味わう道具も味のひとつ。 夏井珈琲の食器棚を覗き見

自家焙煎の珈琲に定評がある五稜郭町の「夏井珈琲 Brucke(ブリュッケ)」。川沿いに建つ洋館というシチュエーションも含め、ゆっくりとカフェタイムを過ごしたい喫茶好きに支持されている店です。 夏井珈琲では、珈琲やそれに合わせるおやつ、食事の味もさることながら、それを提供する際の器も、店の個性としてファンから愛されています。たとえば珈琲カップなら、ウェッジウッド、マイセン、ロイヤルコペンハーゲン、ナルミなど、ヨーロッパのアンティーク調という店のトーンに合わせて、創業時からオーナーが吟味し、集めたものを使用。なかでも、最も数が多いのはマイセンで、4種6客が揃っています。カップの美しさによってさらに珈琲の味が引き立ち、同店で過ごす時間がより心地よいものに。また、壁に陳列されている様子も、非常に美しく絵になります。 オーナーの夏井さんによると「それぞれのカップは口の開き方や広さによって、珈琲の香りの立ち方もさまざまに変化する」とのこと。ぜひ、訪れた際はその違いも楽しんで珈琲の美味しさを味わってください。 夏井珈琲 Bruke(ブリュッケ) 函館市五稜郭町22-5 TEL 0138-52-3782   函館スイーツ推進協議会のPR誌「KA・NO・KA」第3号の特集は、「珈琲×菓子」。函館の街の、珈琲とお菓子にまつわる様々な物語を紹介しています。1万部発行、函館空港、JR函館駅構内函館市観光案内所ほかで、無料配布中。ウェブ上でも読むことができます。

期待の食材、サメ料理のレシピ公開(料理実演講習会レポート)

期待の食材、サメ料理のレシピ公開(料理実演講習会レポート)

2018年12月11日、「おいしい函館 料理実演」が実施され、料理人や飲食店関係者ら31名が参加。函館沿岸や津軽海峡などで獲れるサメをどのように料理に使うことができるか、研究者からサメの特徴や分類などに関する話を聞くとともに、和・洋・中3人の料理人によるサメ料理の実演を見学しました。   サメを食べるのは、津軽海峡対岸の青森県津軽地方などでは一般的だそうですが、函館市周辺では、一部で業務用の練り物材料として使われる以外では、一般にあまり馴染みがありません。函館短期大学付設調理製菓専門学校では、サメの生態に詳しい北海道大学名誉教授(水産学博士)の仲谷一宏さんとともに、5年前からサメ料理の研究に取り組み、函館市の東部・南茅部地区で定置網にかかり、網に入ったイカなどを捕食してしまうサメを、漁業資源として活用できないかを探ってきました。   ■ 負の先入観が強い魚ながら、期待高まる食材 サメは、映画などの影響もあって、どう猛で怖い魚というイメージがあり、さらに食に詳しい人たちの間でも、鮮度低下の際にアンモニア臭がある魚という先入観が強く、食べる習慣のない地域では邪魔者扱いされがちです。しかし、青森県でサメを専門に扱う(有)田向商店の田向常城さんによれば、サメは食材として期待が高まっているとのこと。まず、全身の骨格が軟骨でできていて小骨もなく、加熱することで骨まで柔らかくなることから、とても食べやすい食材。さらに、サメの身は寄生虫やヒスタミンなどによる体への悪影響がないこと、塩味を感じやすい特徴もあることから減塩食にも適しており、学校給食や高齢者向けの食などの分野でも期待が高いものです。また、冷めても硬くならないので、弁当にも向いています。 サメ博士こと、仲谷一宏さん(北大水産学部名誉教授)が、サメの生態や分類、利用法などについて解説。 ■ 食味試験でヒラメを上回る成績 サメ博士の仲谷さんによると、世界に510種程度いるサメの仲間のうち、日本にいるのは124種。食用のほか、皮をつかったベルトやバッグ、骨から抽出されるコンドロイチンは医薬品、油脂は健康食品や化粧品にも使われます。函館周辺で獲れるサメの食味試験で、調理製菓専門学校の学生と一般の人、計38名に食材名を伏せてサメの揚げ物を試食してもらい、味、食感、匂いについて、基準となる白身魚(ヒラメ)との比較で審査。使ったサメは、アブラツノザメ(アブラザメ)、ホシザメ(カノコザメ)、ネズミザメ(モウカザメ)、ヨシキリザメ(アオザメ)【いずれも( )内は函館での呼称】の4種。その結果、味、食感、匂いとも基準を上回る評価がほとんど。総合評価では、どのサメも、高級魚とされるヒラメより高い評価でした。 食味試験では、4種のサメとも、味、食感、においの全項目においてプラス。基準となるヒラメよりもおいしい(良い)という評価となりました。   続いて、3人の料理人によるサメ料理の講習と試食が行われました。   ■ <和食>〆鮫ゆず味噌田楽焼 講師:菊池隆大さん(炭火割烹 菊川) レシピ(別紙pdf参照)   「黄柚子のスライスを加えてマリネすることにより、特有の匂いはすっかり抜くことができる」「軟骨はつけたままにし、食感を楽しめるように」と、菊池さんからのアドバイス。さらに「高級食材の代替えになるようなサメの調理にぜひ挑んでみたい」との意気込みも。   ■ <洋食>アブラツノザメのクネル チーズ風味 講師:吉田徹さん(函館短期大学付設調理製菓専門学校) レシピ(別紙pdf参照)   吉田さんからは、「すり身は作りたてよりも一日おくことで、香りなどが馴染んでおいしくできる」とアドバイス。また、「すり身や付け合わせの男爵いもは、海水を使ってゆでてみたら、塩具合がぴったり」と、ユニークな調理法も披露。 注)潮流のある場所の海水を汲んできたものを煮沸させ、キッチンペーパーで漉したものを使用   ■<中華>乾焼麺絲炸鮫魚 サメのカダイフ揚げのチリソース 講師:木村史能さん(函館国際ホテル) レシピ(別紙pdf参照)   木村さんは、「先入観が強い食材を調理する際には、あえてそのことを前面に出さずに、別の食感で味わってもらうことも大切」と考え、カダイフ(トルコの菓子やフレンチのフリットなどに使われる小麦粉を用いた極細な麺状の食材)を使った料理を考案。   なお、食材のサメは、函館市内の一部スーパーでも取り扱われており、比較的安価なもの。また、青森市にはサメを専門とする販売業者もあり、冷凍真空パックで年間を通して取り寄せができます。函館市内のフレンチシェフ佐藤誠一さんは、「アンモニア臭があると聞いていたが、まったく気にならなかった。自分の中では、サメは格好いい魚というイメージもあり、特徴が分かったのでコース料理の中などでぜひ使ってみたい」との感想を語ってくれました。   多くの料理人の皆さんに、サメの料理に親しんでもらえた講習会でした。

ブリ料理コンテスト、最優秀賞は「ブリユッケ」

ブリ料理コンテスト、最優秀賞は「ブリユッケ」

2018年11月、第1回「はこだて・ブリ料理コンテスト」(主催:はこだて・ブリ消費拡大推進協議会)の最終審査会が行われ、応募総数60件の中から最優秀賞「ブリのユッケ」と優秀賞2件が選ばれました。 近年、北海道の周辺には多くのブリが来遊するようになり、函館市は全国有数の水揚げ量・金額を誇るブリの一大産地となりました。ところが、北海道ではブリの料理はまだまだ馴染みが薄く、消費量は全国平均を大きく下回っています。今回のコンテストは、地域の人がブリにもっと親しみ、調理の機会を増やすきっかけになるように初開催されたものです。 下記からレシピをご覧いただけますので、ご家庭やお店で、ぜひ新しいブリ料理をお試しください。 ■入賞作品■ 【最優秀賞】 温泉卵と味付け海苔を加えた韓国風「ブリユッケ」 作者 大浦様(山口県下関市)→レシピはこちら 【優秀賞】 揚げせんべいとごまの変わりごろもで「ぶりの香ばし焼き」 作者 芳賀様(東京都八王子市)→レシピはこちら 【優秀賞】 小さめの切り身で野菜を巻いて焼く「ブリ巻き」 作者 新関様(北海道北斗市)→レシピはこちら

プロに学ぶ! 小学生向け料理教室(函館市・食の担い手育成事業)

プロに学ぶ! 小学生向け料理教室(函館市・食の担い手育成事業)

函館市は2018年12月~2019年3月、コープさっぽろとの共催で、小学生向け料理教室(全4回)を開催しています。これは「食の担い手育成事業」の一環で、「食」に関する仕事が子どもたちにとって将来の選択肢のひとつとなるよう、地元の優れた食材や食文化、料理人の技に触れる機会を提供するものです。   12月6日(木)に開催された第1回は、「今年のクリスマスケーキは自分で作るぞ!教室」。洋菓子店「チッチョパスティッチョ」オーナーシェフ・大桐幸介さん指導のもと、イタリアのケーキ「ズッパイングレーゼ」作りに挑戦しました。無農薬自然農法でブルーベリーやカシスを栽培するハウレット農園のハヌル・ハウレットさんも参加し、ケーキソースに使用するカシスについて説明しました。   将来はパティシエになりたいという深堀小学校6年の鈴木知花さんは、「家でも菓子作りをするが、生クリームのホイップなどシェフからコツを教わることができてよかった。スポンジケーキも思ったよりもうまく焼けた」と満足の様子。   2019年1月23日(水)開催の第2回は、バレンタインに向けてのチョコレート作り。講師は、第1回と同じ大桐幸介さんと、ハヌル・ハウレットさんです。応募に関する詳細は、1月初めに発行される函館市広報誌「市政はこだて」と、コープさっぽろ広報誌「Cho-co- tto(ちょこっと)」に掲載されます。 ハウレットさんからは、ヨーロッパではカシスが「ジャムの王様」と呼ばれていることや、とても眼にいい食材であることなど、いろいろな豆知識を教わりました。 大桐シェフからは、「卵をしっかり泡立て、他の材料と十分混ぜ合わせて生地を作ることが、うまく焼き上げるポイント」と教わりました。 スポンジケーキが焼き上がるまで、子どもたちはもうドキドキわくわく。 いよいよ生クリームやカシスなどでデコレーション。ケーキ作りの途中では、やっぱり味見が楽しいひととき。 生クリーム盛り盛りのケーキ、可愛らしいケーキなど、参加者それぞれが個性豊かなクリスマスケーキを作り上げて、持ち帰りました。

「イカナポリタン」作りに挑戦。親子向け料理教室開催

「イカナポリタン」作りに挑戦。親子向け料理教室開催

2018年11月23日、函館市内の小学生親子を対象とした料理教室が開催され、23名が参加。函館市の魚「イカ」をつかったパスタの作り方などを学びました。主催した函館農水産物ブランド推進協議会(事務局:函館市)は、地元産の農水産物の良さをより深く知ってもらおうと、定期的に料理教室を企画。今回は、「Restaurant nana-papa(レストラン ナナパパ)」の池田洋二シェフを講師に迎えて、同店のオリジナルメニューで函館の新ご当地グルメ「イカナポリタン」の調理法を紹介し、家庭でもおいしく手軽に作れるパスタ作りのコツなどを指導しました。   母親、姉とともに参加した函館市立昭和小学校1年の白岩謙弥さんは、「自分で料理するのは初めて。難しいところはお母さんが手伝ってくれたので、うまくできました。自分で作った料理はいつもよりおいしく感じる」と、イカナポリタンを頬張りながら、満足の笑顔を見せてくれました。 まずは、池田シェフが模範の調理を披露。説明の随所に、いろいろな料理に応用できる調理のコツが盛り込まれていました。 昔ながらのパスタ料理「ナポリタン」を作る際のコツは、茹でた麺にサラダ油と塩を絡めてからしっかり水で冷やし、一度冷蔵庫で寝かせること。こうするとケチャップソースの旨みが麺によくしみ込むそうです。また、イカには火が入りすぎないようにも注意。 親子で作業を手分けして、一生懸命ナポリタン作り。 料理の後は、皆でおいしく味わいました。 もう一品、スペイン料理のデザート「カタラーナ」をオーブンを使わずにできる作り方も紹介。わずかな手間で、本格的なデザートが家庭でも作れるとあって、興味津々の様子。 クリームチーズを使った、濃厚な味わいのカタラーナ。冷やすとアイスクリームのような舌触りです。 講師の池田シェフは、「イカとナポリタンで函館を盛り上げよう!」と、市内の料理人とともに「函館イカナポリタンの会」を結成。「Restaurant nana-papa(レストラン ナナパパ)」を含む9つの参加店ではそれぞれ、オリジナルのイカナポリタンを提供しています。

高校生が考案した商品も人気。はこだておいしいフェスタ開催

高校生が考案した商品も人気。はこだておいしいフェスタ開催

2018年10月6日(土)、JR函館駅近くのはこだてグリーンプラザなどを会場に「はこだておいしいフェスタ」(主催:函館市)が開催されました。あいにく小雨が降る中での開催でしたが、函館や近隣の町から約30の飲食店などが参加。建ち並ぶテント屋台に市民や観光客が次々に訪れ、各店の名物料理に舌鼓を打っていました。会場内には、北海道胆振東部地震で被災した地域を応援しようと「胆振・日高(nittan)地域応援コーナー」も設けられ、物産販売や観光パンフレットの配布などに多くの人が足をとめていました。   このイベントで、盛りあげに一役買ったのは、市内2つの高校の生徒たち。それぞれが考案したオリジナル商品の販売を行いました。函館商業高校は、函館の老舗料理店の五島軒とのコラボで開発した「バターチキンカレー」のレトルトパックを販売。生徒たちは法被(はっぴ)をまとい、訪れるお客さんとの会話も楽しみながら接客していました。また、清尚学院高校は、市内のパン店の協力を得ながら「はこだて焼きピロシキ」の具材を考案。この日は、料理部に所属する生徒2名が、8種のオリジナル焼きピロシキを販売しました。   ほぼ一日を通しての雨模様でしたが、食のイベントは根強い人気があります。昼近くにはテント内の客席が満席に。   近隣の北斗市や木古内町などからも出店。威勢のいい掛け声、ジュージューという肉の焼ける音や匂いが会場を盛り上げます。   函館商業高校が販売した「バターチキンカレー」は「商業高校フードグランプリ2017」で、大賞に次ぐ「服部幸應審査員特別賞」に輝いた商品。また、翌年に開発した「ごろっと!ほっこり!スープカレー」は2018年12月から、LCCのバニラ・エアの国内・国際便全便で提供される予定です。   清尚学院高校は、「はこだて焼きピロシキ」を製造販売する6つのパン店で構成する「ソユーズはこだて焼きピロシキ」とコラボ。料理部の生徒が2ヶ月間かけて、イカやホタテ、ジャガイモなど道南の食材を用いた9種のレシピを考案しました。これを共同で商品化し、9月には約10日間にわたり市内のデパートで販売を行いました。

函館の料理人が考案した「昆布料理コレクション」

函館の料理人が考案した「昆布料理コレクション」

函館は、国内昆布生産量の15%を占める日本一の昆布産地です。上品かつ甘みのある味わいが特徴の「函館真昆布」や、水に浸すと驚くほどの強い粘りが出る「がごめ昆布」が人気ですが、その多くは本州に出荷され、実は函館市内での昆布消費量は多くありません。「もっと、函館産昆布を使った料理を」と、函館の料理人たちが考案したオリジナルの昆布料理をご紹介します。   ■ 2種類のコンブを用いた海鮮サラダ 函館市が2018年7月に開催した「おいしい函館バスツアー」に参加した、ロワゾー・パー・マツナガのシェフ松永和之さんは、2種類のコンブを用いた海鮮サラダを考案。色鮮やかな旬の野菜に、細く刻んだ若葉の剥き昆布が色合いも美しく仲間入りしました。野菜の下にはイカやホタテが豪快に盛られ、味つけには、がごめ昆布とエシャロットを加えたビネガーソースを添えて。魚介類の旨みが引き出され、とろみのある新たな食感も楽しむことができます。   ■ 黒みつがごめ 料理研究家の木下あやこさんも「おいしい函館バスツアー」で得た昆布に関する知識を生かして、黒みつとがごめ昆布を合わせた「黒みつがごめ」を考案しました。ところてんなどにかける黒みつは、盛った際にどうしても下に溜まってしまうもの。黒蜜とがごめ昆布を合わせることでとろみがつき、ところてんの上にしっかりのった状態で、きれいな盛り付けができるようになりました。   ■ はこだて がごめ飯 居酒屋などを展開するGUT’Z経営の岸部悟司さんは、2013年から「がごめ家」で「はこだて がごめ飯」を提供中。がごめ昆布の混ぜご飯に、がごめ昆布で締めたイカ刺し、たらこ、カニのむき身などが盛られた丼めし。途中でかつおだしの吸いものをかけて「ひつまぶし」のようにして食べることもでき、いろいろな味わいや食感を楽しめるメニューです。   ■ がごめ昆布のゼリー 函館短期大学付設調理製菓専門学校で教鞭を執る吉田徹さんは、がごめ昆布料理研究の第一人者。がごめ昆布の粘り成分を抽出し、ところてん状に固めたものを考案し、「函館がごめの雫」として商品化されました。近年、ところてんよりも柔らかいものを作ろうと配合を工夫し、がごめ昆布のゼリーを試作。透明感の高いゼリーができました。自家栽培のハーブ「マローブルー」を用いた特製シロップに浮かべて、スイーツ仕立てに。無色透明のシロップにレモンを搾ると、鮮やかなピンク色にゆっくりと変化し、目も楽しませてくれます。

函館割烹調理師会が創設110周年で「食材慰霊碑」建立

函館割烹調理師会が創設110周年で「食材慰霊碑」建立

函館・道南の和食料理人らで組織する「函館割烹調理師会」が、創立110周年を迎え、これを記念して「食材慰霊碑」を建立しました。市電「宝来町」電停近くのグリーンベルト(緑樹帯)の中に建てられた慰霊碑には、「食材の恵みに感謝」と記され、日本料理を生業とする料理人として、「食材の恵に感謝する心を持ち その命への慰霊の気持ちを忘れることなく、日々精進している」との理念が添えられています。   函館割烹調理師会は1908(明治41)年に創設されました。北海道内では最も早く作られた調理師による団体です。明治期の函館は、海運や貿易などで繁栄し、北海道随一の都市でした。創立の前年には市内で約9,000戸を焼失する大火があり、その復興の時期と重なります。所属する料理人たちは、こうした街の繁栄を影で支えてきた存在ともいえるでしょう。 2018年9月9日の除幕式には、会員や関係者のほか、道内他都市の調理師会会員も多数参加。あいにくの雨模様のなか約60名が集い、除幕を行いました。 この碑を建立した函館割烹調理師会の八代目会長、坂本勝彦さんは、近年、地域のブランド食材が人気を博していることなどに触れ、料理人はこれまで以上に食材を知り、探求することが求められていると挨拶しました。 式典の後、会場を移し「四條公祭(しじょうこうさい)」が行われました。四條公祭とは、料理に携わる人々の間で定期的に執り行われる神事です。日本料理の祖・磐鹿六雁命(いわかむつかりのみこと)と、料理技法の四條流(しじょうりゅう)庖丁式を確立した四條中納言藤原政朝公(ふじわらのあさともこう)を祀る行事で、祭壇には包丁を供えて、命をいただく食の恵みに感謝し、料理技法の向上を祈願するものです。